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日本で最も増加傾向なミャンマー人

日本経済新聞で取り上げされた記事とその解釈

日本で働くミャンマー人が急増しており、留学生を含めた在日ミャンマー人の数は1年間で6割近く増加しました。この背景には、ミャンマー国内のクーデターによる国難から逃れたい若者と、日本国内の人手不足という両者の利害が一致したことがあります。製造業や介護などの現場で彼らが重要な働き手となりつつあり、これは移民受け入れに慎重だった日本の「開国」が静かに進んでいる状況を示しています。

元記事はコチラ!https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB033OK0T00C25A3000000

例えば、都内のコンビニエンスストアでは、ミャンマーから来日した若者が日本語学校に通いながらアルバイトとして働いています。彼は経済が混乱する母国を離れ、アニメ好きから日本を選びました。全国のコンビニでは外国人労働者が増加しており、ミャンマー人は出身国別で6番目に多く、貴重な戦力となっています。

在日ミャンマー人の数は2024年末に13万4574人となり、前年から55.5%増加、10年前の13倍に達しました。これは同時期の在日外国人全体の伸び率と比較しても際立っています。これまでのアジア諸国からの来日者と同様に経済的な理由もありますが、ミャンマー人の急増には2021年のクーデターという特殊な事情があります。内戦による経済の低迷に加え、2024年に導入された徴兵制を逃れようとする若者が、タイやシンガポールに加え、比較的ビザを取りやすい日本に押し寄せているのです。

特に多いのが、働きながら技術を学ぶ「技能実習」と、より専門的な「特定技能」の在留資格で働く人々です。これらの在留資格を持つミャンマー人の数は増加しており、介護や製造業などの現場で活躍しています。

川崎市の病院では、ミャンマー人の技能実習生が流ちょうな日本語で介護業務にあたっています。彼女は母国の日系企業での勤務経験を経て来日し、「介護福祉士の資格を取って日本でずっと暮らしたい」と語っています。病院側もミャンマー人実習生を「病院の宝」と評価しています。

少子高齢化による人手不足に悩む日本にとって、彼らは不可欠な存在です。日本はミャンマーの将来性に着目し、過去に企業進出や日本語教育への投資を行ってきました。これにより、クーデター以前から日本を身近に感じる人が多かったことも、現在の受け入れを後押ししています。また、アジア各国の経済成長により、日本が以前のように人材を集めにくくなっている事情もあります。

製造業の現場でもミャンマー人が重要な働き手となっています。兵庫県の製造業では従業員の多くをミャンマー人が占め、現地の賃金上昇で他の国からの人材確保が難しくなったことからミャンマー人の雇用を増やしました。別の段ボール工場でも、外国人労働者の中心はミャンマー人となっています。

多くの在日ミャンマー人は、母国の情勢が落ち着くまで日本に留まりたいと考えており、ミャンマーの混乱が続く限り、日本は彼らの長期的な働き場所となる可能性があります。

一方、日本政府は「移民は入れない」としつつも、外国人労働者を受け入れるための制度を拡大してきました。しかし、体系的な移民政策がないまま制度を拡充した結果、限界が見え始めています。「アジア人は低賃金労働でも喜んで働く」という古い意識も現実と乖離しており、賃金が伸び悩み円安が続く日本は、アジア各国と比べて魅力が薄れつつあります。

近隣の韓国や台湾が積極的に外国人を受け入れているのと比較し、人材獲得競争に勝つためには、国民的合意に基づいた移民受け入れ政策や、外国人の定着に向けた支援策が必要だと指摘されています。

日本語のレベルが上がりやすく日本と親和性の高いミャンマー人

深刻な人手不足に直面する日本企業にとって、来日が増加しているミャンマーの人々は重要な担い手となり得ます。母国の情勢から日本での活躍を望む彼らは、既に製造業や介護、ホテルなど様々な現場で貴重な働き手として貢献しており、日本の経済活動を支えています。

企業が積極的にミャンマー人を受け入れることは、喫緊の人手不足解消につながるだけでなく、多様な視点や活力が組織にもたらされる機会となります。単に労働力としてだけでなく、共に働く仲間として互いを理解し尊重する共生を目指すことが重要です。適切な研修やサポート体制を整えながら、ミャンマーの人々と共に成長を目指すことが、企業ひいては日本社会全体の持続的な発展に繋がると筆者は考えます。

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